卒婚とは、夫婦が別々の人生を歩む形のこと。離婚はせず、夫婦関係だけを解消する新しい選択肢として、テレビなどで知った人もいるのではないでしょうか。

卒婚に関する詳しい説明はこちらの記事をご覧ください→「卒婚」とは?「離婚」「別居」との違いやメリット・デメリットについて

本記事では、卒婚を円滑に進めるため、あらかじめ決めておきたいルールについて解説します。

卒婚時に決めておきたいルール

卒婚は、法的な夫婦関係を継続したまま、お互いが自由に暮らすことができる、新しいライフスタイルです。しかし、いくら自由とはいえ、後々トラブルにならないよう最低限のルールを決めておくことが大切です。

卒婚を始める前に決めておきたいルールについて、順番にチェックしておきましょう。

なお、今回ご紹介するルールは、あくまで基本にもとづいたものです。卒婚を始める理由や各夫婦のケースに合わせて、自由にアレンジをしてみてください。

住居

卒婚を進めるにあたり、まず決めるべきことは、お互いの住居です。まず「同居」「別居」それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

同居卒婚 別居卒婚
内容 卒婚後も同居を続ける 卒婚後は別居する
メリット ・経済的な負担が抑えられる
・世間体が保てる
・(距離を置きたい場合は)配偶者の顔を見ずに済む
・自由度が高い
デメリット ・(距離を置きたい場合は)完全二世帯住宅ではない限り、顔を合わせる頻度が高い
・別居に比べ、自由度が低い
・経済的負担が増える
・同居卒婚に比べ、世間体や近所の目が気になるケースがある

別居卒婚は自由度が高い一方、生計を別々にするわけですから、これまでと同じ暮らしをすることは難しくなります。一方、同居卒婚の場合、同一生計のため、経済的な負担は変わりません。しかし、同じ家に2人が暮らしているわけですから、全く干渉しない暮らしをすることは困難です。

ただ、経済的な負担や世間体から別居は難しいものの、配偶者と一定の距離をとりたい人は、寝室別居から始めるのもひとつの方法です。

同居卒婚の場合のルール(例)

  • 家事(炊事・洗濯・掃除・ゴミ出しなど)の分担割合について
  • 共有スペース、プライベートスペースの分け方について
  • 食事は一緒にとるか、別々にとるか(一緒に食事をする場合は、その頻度について)など

別居卒婚の場合のルール(例)

  • 経済的な負担の割合について
  • お互いの家を訪問する際のルールについて(事前連絡要など)
  • (婚外恋愛OKの場合)家に異性を連れてきてもよいかどうか など

生活費など金銭面

お互いが経済的に自立しているケースであれば「自分の生活費は、自分で支払う」といったルールでも、問題ないでしょう。しかし、一方が専業主婦・主夫の場合や、収入面で差がある場合などは、卒婚したとしても、収入が高い方が低い方へ生活費を払う義務が発生します。

特に別居卒婚を選ぶ場合は、最初に細かく取り決めをしておきましょう。

生活費など金銭面に関するルール(例)

  • 生活費として支払う金額
  • 生活費の支払い日
  • 家賃、住宅ローン、水道光熱費、固定資産税、自動車税、住宅保険などの負担割合
  • (子どもがいる場合)子どもに関する費用 など

時間面

卒婚することで、一定の距離が生まれます。

卒婚する理由が「相手との距離を取りたい」という場合には、顔を合わせる時間を減らすためのルールも決めておきましょう。

同居卒婚の場合のルール(例)

  • 帰宅時間の事前連絡について
  • 生活時間について など

別居卒婚の場合のルール(例)

  • 相手の家を訪問する際の事前連絡ルールについて
    (連絡なしの訪問はしない、◯日前までにアポをとるなど)
  • 近況報告、連絡の頻度 など

どちらかが病気になったとき

将来的には、夫婦のどちらかが病気になったり、介護が必要になったりすることも考えられます。病気の内容や介護の必要度合いにもよりますが、卒婚の継続・解消について、ルール決めをしておくと安心です。

病気・要介護状態になった場合のルール(例)

  • 病気・要介護状態になっても、卒婚を継続する
  • 病気・要介護状態になった場合、卒婚を中止する など

卒婚後の恋愛

卒婚したとしても、法律上は夫婦であることに変わりはありません。しかし、お互いに自由な時間が増えることで、恋愛の機会が増えることも事実。

卒婚後の恋愛に関するルール(例)

  • 恋愛NG
  • 恋愛OK、ただし離婚はNG など

【恋愛OKの場合】

  • 自宅に連れてくるのはNG
  • 恋人ができたら、配偶者にも紹介する など

恋愛面についても、より具体的な内容を話し合っておくことをおすすめします。

【まとめ】

「卒婚」という言葉には、法的な定義はありません。だからこそあらぬトラブルを招かないように、卒婚を始める前に、夫婦で話し合い、ルールを決めることが大切です。

もちろん、実際に卒婚を始めてみなければわからないこともたくさんあるでしょう。

過去の例では、卒婚を始め、状況の変化に伴い、ルールを変更している夫婦もいらっしゃいます。お互いの同意によるルール変更は、全く問題ありません。

何より大切なことは、卒婚を始める前に基本的ルールを決めておくこと。そして、夫婦ともに納得した状態であること。特に、卒婚は離婚のように縁を切るわけではありません。卒婚後も、必要に応じて話し合える関係を築いておくことが大切です。

ぜひ今回の記事を参考に、卒婚を円滑に進めるルール決めをおこなってみてください。