テレビや新聞などで「卒婚」の認知度が広がっている現在、卒婚に向けて動き出そうとしている方や、すでに動き始めている方が増えています。

夫が定年退職したり子育てがひと段落したりすると、夫婦2人で過ごす時間が増えます。

女性にとっては「介護とパートナーの世話の両方が必要」など負担が大きいため、「卒婚して、自分の人生を楽しみたい」と考えるのは自然なこと。

とはいえ、勢いだけで卒婚を進め、「こんなはずではなかった」と後悔する話も聞きます。

そこで本記事では、「卒婚を成功させる準備のポイント」について解説します。

卒婚準備5つのポイント

1.経済的な自立

卒婚を選んだとしても、法律上夫婦であり続ける以上、生活費を支え合う義務は残ります。

もちろんお互いが経済的に自立している場合は、特に問題ないでしょう。

しかし、片方が専業主婦(主夫)の場合などは、完全に自立することは難しいもの。

卒婚までに準備期間があるならば、パート・アルバイト・在宅ワークなど、できることから収入を増やす努力を始めましょう

現在の家庭の状況などにより制約があるかもしれませんが、一時的な収入ではなく

  • 「資格取得などにより、将来的にスキルアップが見込めるか」
  • 「収入が上がる可能性があるか」

などを考えた上で、仕事を選ぶ必要があります。

経済的に自立できていない状態で、すぐに卒婚を進めたいのであれば、まずは話し合いを。

一方が生活費を負担する代わりに、もう一方は家事をおこなうなど書面に残しておくことで、トラブルを避けやすくなります。

2.精神的な自立

卒婚のメリットを得るためには、夫婦両方が精神的に自立している必要があります。

どちらかが依存していたり、共依存の関係だったりするとトラブルが起きやすくなるでしょう。

「すでに恋愛感情はない。でも、友人・同士・仲間のような気持ちは残っている」といった関係性がベストです。

一方「配偶者に不満はあるけれど、依存している」「夫婦とはこうある“べき”といった考え方にとらわれている」といった方は、要注意。

いくら夫婦とはいえ、自分と相手は別の人間。相手を尊重する気持ちがあるか、1人でやっていく気持ちがあるのか、自問自答しましょう。

卒婚の道を選ぶにせよ、このままの関係を継続するにせよ、精神的自立は大切です。

3.冷静に話し合える関係づくり

卒婚を成功させるためには、夫婦共に冷静さを持ち合わせている必要があります。

一度、これまでの夫婦生活を振り返ってみてください。お互いの意見が異なる場合にも、丁寧に話し合いを重ね物事を解決してきたような夫婦であれば、うまくいきやすいでしょう。

どちらかが感情的だったり、落ち着いて話し合いができない関係だったりという場合は、急いで卒婚を進めることはおすすめしません。

また、卒婚について話を進める中で、パートナーに苛立つことや自分の思い通りにいかないこともあるかもしれません。そのときにも、まずは自分が冷静になることが重要です。

4.ルール決め

卒婚には、法律や一般常識のように「この方法が正解」といったルールはありません。だからこそ、夫婦2人が納得できる、具体的なルールを決めましょう。

・生活費について

片方が専業主婦(夫)の場合は、生活費をどれくらい支払うのか話し合っておきましょう。また卒婚の場合、同居・別居の2パターンがありますが、別居を選ぶと生活費が増加します。生活費の負担を決める際に、卒婚後の暮らしについてもイメージしておきましょう。

・婚外恋愛について

卒婚したとしても、法律上は夫婦のままです。恋人をつくることで、不貞行為とみなされる可能性もゼロではありません。「恋愛は自由。離婚はしない」「(同居の場合)家には連れてこない」など、お互いが納得のいく方法をすり合わせましょう。

・病気や介護が必要になった場合について

お互いが健康で自由を満喫できる状態であれば、卒婚のメリットは大きいものです。しかし、いつかはどちらかが病気になったり介護が必要になったりする時期がやってきます。その場合、卒婚を解消し元の生活に戻るのか、それとも卒婚状態を継続するのか話し合っておきましょう。

・終活(お墓・相続など)について

卒婚したとしても、年を重ねるにつれ終活の問題が発生します。「一緒のお墓に入る?別々のお墓に入る?」「遺産相続はどうする?」といった部分も、あらかじめ話し合いが必要です。

5.臨機応変さ

ここまで卒婚に関する準備やルール決めの重要性について解説してきました。

しかし、実際に卒婚を始めると、すべてが思い通りにいくとは限りません。

例えば…

  • どちらか1人が寂しさを感じるようになった
  • 転職、病気などの理由により、取り決め通りの生活費を支払うのが難しくなった
  • 別居を続けていたが、週末だけなら同居したいと思うようになった

事前準備は大切ですが、時間の経過とともに考え方や状況は変わるもの。卒婚は、離婚のように関係性を断ち切るものではありません。

だからこそ、状況が変わったときには、改めて相談できる関係性を継続しておくことが大切です。想定外の状況が起きたときには、最善の関係性を見つけようと思える2人であれば、きっと卒婚もうまくいくでしょう。

まとめ

卒婚と離婚の大きな違いは、婚姻関係が続いていることです。法律上は夫婦のままですから、経済的・精神的に支え合うことも不自然ではありません。

その上で、卒婚の最大のメリットである「自由」を満喫するためには、経済的・精神的な自立がカギとなります。

具体的に卒婚を始めたいと思っている方は、まずは経済的・精神的な自立ができているかを考えた上で、準備を進めることをおすすめします。